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風をあつめて (1971年, はっぴいえんど)

文学的歌詞と豊かな低音ボーカル良し!



目次

 

はっぴいえんど(HAPPY END)とは

1969年から1972年まで活動していた日本ロックの草創期に活動したグループだ。

 

メンバー
細野晴臣(ボーカル・ベース・ギター・キーボード)
大瀧詠一(ボーカル・ギター)
松本隆(ドラムス・パーカッション)
鈴木茂(ギター・ボーカル)

 

YMOのメンバーである細野晴臣、「幸せの結末」など、多くのヒット曲を持つシンガーソングライターの大瀧詠一、作詞家である松本隆、ギタリスト・アレンジャー、セッションミュージシャンとして多くの楽曲に携わる鈴木茂によるバンドであった。


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『風をあつめて』

『風をあつめて』は歌詞、曲ともに現代でも新鮮に聴こえてくる。約半世紀前の音楽とはとても思えない。多くのアーティストにカバーされており、いつまでも残り続ける名曲だ。

 

楽曲はアコースティックギターのシンプルなイントロから始まり、低音で響く声が印象的だ。他のミュージシャンのカバー曲も良いのだが、オリジナルはベストだと思ってしまう。

 

アコギとベース、ドラムとオルガンというシンプルな構成の曲だが、低音、張りのある声と合わさり、ゆったりとした独特の空気を作り出す。

 

また歌詞中には難解な漢字が多様されており、ダブルミーニングが使われている。背伸びした路地、起き抜けの路面電車など擬人法が多く使われているのも特徴的で、何とも文学的な歌詞なのだ。

 

歌詞

作詞:松本隆
作曲:細野晴臣

街のはずれの
背のびした路次を 散歩してたら
汚点(しみ)だらけの 靄(もや)ごしに
起きぬけの露面電車が
海を渡るのが 見えたんです
それで ぼくも
風をあつめて 風をあつめて 風をあつめて
蒼空(あおぞら)を翔けたいんです
蒼空を

 

とても素敵な
昧爽(あさあけ)どきを 通り抜けてたら
伽籃(がらん)とした 防波堤ごしに
緋色(ひいろ)の帆を掲げた都市が
碇泊(ていはく)してるのが 見えたんです
それで ぼくも
風をあつめて 風をあつめて 風をあつめて
蒼空を翔けたいんです
蒼空を

 

人気のない
朝の珈琲屋で 暇をつぶしてたら
ひび割れた 玻璃(がらす)ごしに
摩天楼の衣擦(きぬす)れが
舗道をひたすのを見たんです
それで ぼくも
風をあつめて 風をあつめて 風をあつめて
蒼空を翔けたいんです
蒼空を

 

歌詞の意味

難しい言葉を使っているので、それぞれの意味を簡単に説明すると

 

  • 昧爽(本来はマイソウと読む)、意味は夜明け
  • 伽籃(ガラン)、仏道修行者が修行する閑静な場所の意味、後には寺院の建築物を意味する言葉
  • 碇泊(テイハク)、船が碇(いかり)をおろしてとまること
  • 玻璃(ハリ)、意味は水晶やガラス。こちらも仏教用語。
  • 衣擦(キヌス)れ、歩くときなどに、着た着物の裾などがすれ合うこと。

 

『風をあつめて』は1970年代初頭、開発が進み、ビルや工場が立ち並んでいくことで、古き良き東京の原風景がなくなっていく街の変化を3つの情景で描いている。変わっていく東京を見ながら、「翔けたいんです」という言葉にあるように自分達も変わろうとしているかのようだ。

 

現代では「風」という言葉は、気象の風だけではなく、雰囲気や流行、似たものを指すときにも使われる。「風」という言葉で自分たちの憧れる音楽を表現しているのかもしれない。

 

アメリカのロック歌手ボブ・ディランの「風に吹かれて」という曲があるが、この曲のオマージュとも言われており、アメリカのロック文化への憧れが感じられる。

 

「緋色の帆を掲げた都市」は、アメリカを意味し、移り変わる東京と共に、ロックへの憧れ、自分達も風をあつめて蒼空をかけたい!そんな想いが伺える。自分達の未来への想いを載せて歌う楽曲、はっぴいえんどにとっても大切な楽曲である。

 

 

レコードが売れなかった!?

歌詞、楽曲ともに新しく魅力がつまった楽曲だが、はっぴいえんどは活動期間中に、レコードがヒットしなかったバンドだったそうだ。現代にも引き継がれる名曲であるのに驚きだ。

 

それでもやはり名曲は認められ現在(イマ)も残る。勉強になる曲でした。