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青春の影 (1974年, チューリップ)

名曲はいつまでも色褪せない!その歌詞、こぼれる涙、ただの女、その意味は!?

 

名曲はいつまでも色褪せない

儚く透明感のある声と心地よいメロディー

チューリップの名曲『青春の影』

 

目次

 

 チューリップとは

チューリップは1971年に結成された音楽グループ。フォークや歌謡曲が主流だった音楽シーンにポップス(&ロック)という新風を吹き込んだバンドである。

 

まさに日本音楽シーンの ″いち時代″ を築いたグループなのだ。1989年に一度解散したが、1997年以降、たびたび再結成しており、現在もコンサートツアーなど精力的に活動を続けている。

 

ボーカルはリーダーであり、音楽プロデューサーや俳優、物書きとして多才に活躍する財津和夫さん。昔の映像では、今よりも少し太く、伸びやかな声、それはそれで十分いい声なのですが・・・。

 

今の財津さんの声は、はかなさや透明感が出ていて、この曲にはむしろ現在の声質の方が合っていると思える。哀愁を帯びた抑揚ある歌唱が実に素晴らしい。多くの人がカバーしている名曲ですが、財津さんにしか出せない音楽を聴かせてくれる。

 

 

青春の影とビートルズの関係

この『青春の影』は今聴いても、なぜか古さを感じない楽曲である。チューリップとして、通算6枚目のシングルであり、自分達が目指していた本来の音楽に路線を修正するために発表したバラードナンバーとして知られる。このためチューリップにとっても思い入れのある楽曲である。

 

歌詞はビートルズの「The Long And Winding Road」をモチーフにしたと言われている。日本語で「長く曲がりくねった道」、ビートルズの歌詞は、君へと続く道の険しさ、でも長く遠回りをしても君に続くドアを探すという一途な愛をテーマにしたものである。


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さて、この青春の影という曲『青春の影論争』なるものが存在する。すなわち、この曲はプロポーズの歌?もしくは別れの歌?どっちなんだぁ~~!?という論争のことだ。

 

言葉に注目してみると色々なことが見えてくる。

 

 

歌詞

作詞:財津和夫

作曲:財津和夫

君の心へ続く長い一本道は
いつも僕を勇気づけた
とてもとてもけわしく細い道だったけど
今君を迎えにゆこう
自分の大きな夢を追うことが
今までの僕の仕事だったけど
君を幸せにするそれこそが
これからの僕の生きるしるし

 

愛を知ったために涙がはこばれて

君のひとみをこぼれたとき
恋のよろこびは愛のきびしさへの
かけはしにすぎないと
ただ風の中にたたずんで
君はやがてみつけていった
ただ風に涙をあずけて
君は女になっていった

 

君の家へ続くあの道を

今足もとにたしかめて
今日からは君はただの女
今日から僕はただの男

 

青春の影論争についての考察

一番の歌詞ではこれまでの"道のり"の回想やプロポーズを示唆する言葉が並び、「君を幸せにするよ」とポジティブな印象を残す。

 

一転して、二番では恋から愛へと変わった時の心境の変化がうまく描写されており、「涙」という言葉が巧みに使われている。「涙」は嬉しくても、悲しくても出るので、どちらで出る涙を表現しているのか?涙の原因が何か?これをどのように解釈するのかで、意味が大きく変わってくるのだ。

 

そして結論部分「今日からただの女、ただの男」という言葉で終わる。夫婦ではなくて、ただの他人になってしまったのかな。

 

「そうか別れの曲だったのかな」とシンプルに解釈してしまいそうになる。

 

しかし、その前の一文に「君の家へ続くあの道を今足もとにたしかめて」という文章があり、この言葉にはポジティブな印象を与えられる。

 

この一文から夫婦になった後の事を意図しているとも読み取れるのだ。ここで重要になってくるのは「ただの女、ただの男」に使われている「ただの」の意味ではないだろうか?

 

辞書を引いてみると、

ただの:

・取り立てて言うほどの価値・意味がないこと

・何もしないこと

・ありきたりに、普通に

 

夫婦になると「あなたのこと好きです」とはなかなか言わない関係になってしまう。「ただの男と女」は普通の関係、すなわち日常のありきたりな男と女の関係になるということを意味しているのかもしれない。

 

最初は "別れの曲" かなと感じていましたが、よく考えてみると、夫婦になることはこのような普通になることを意図しているという捉え方もありなのかもしれません・・・。やはり、プロポーズの歌!?、一途な愛の歌かもしれないと思えてくるのだ。皆様はどう思われますでしょうか?

 

この命題の結論は出そうにないですね。考えることができる余白をわざと作っているところがまたすごいと感じる!?

 

 

財津さん自身の見解

「恋」から「愛」に変わった主人公の心境が歌われた歌詞とのこと

財津自身は「二人の関係が「恋」から「愛」に変わった。ただそれだけ(後略)」・「単純に、主人公である男の成長を歌にしてみようと思った」・「「ただの女、ただの男」になることが確かな幸せにつながると言いたかった」と語っており、平凡な幸せこそが最高だと説いた純粋な恋の歌である。

wikiより

 

こんな感じでカッコよく年を重ねたいぞ!

 

 

青春の影 1972-1986

青春の影 1972-1986